あーたんの読書ブログ

読書感想文かいていきます!

読書感想文#4『アサーション入門』平木典子

アサーション入門』平木典子


 

 

アサーションとは、自分も他人も大切にする自己表現のこと。臨床心理士の著者が、コミュニケーションにおいてなぜアサーションが大切か、どうやって実践すればよいのかを説明した本。

 

<本の要点まとめ>

  • アサーティブではない自己表現:非主張的自己表現

「自分はNot OK、相手はOK」。

この自己表現は、自分の意見や感情を相手に言えない、いい損なうため、結果的に理解されなかったり、言いなりになったりして非常にストレスがたまってしまう。

 

心理としては、分かってもらえないかもしれないという恐れや、他人への甘えがある。自己表現することでおこるマイナスの結果を恐れ相手に任せることで安全を確保しようとする。

 

この自己表現では相手のためをおもって、マイナスな状況を生まないように自己犠牲をしてもそれが伝わらず惨めな思いをしたり、ストレスが大きいためメンタルを病んでしまう。またいい人のように一見見えるが実は、常に遠慮されたり、自己表現をしてくれないと、相手は居心地の悪さを感じることになるので人間関係を築きにくい。

 

  • アサーティブではない自己表現:攻撃的自己表現

「自分はOK、相手はNot OK」。

相手を言い負かしたり、操作したり、怒鳴ったり、自分の意見を押し付ける自己表現で、無意識的に相手を軽視したり無視したりするため相手を傷つける。必ずしも怒鳴るなどの表現ではなく、言い方が優しくても「一言多い」「押し付けがましい駄目押し」も含まれる。

 

この自己表現の裏には自分は正しい、自分の方が優れていると思っている心理がある。または社会的に立場が上の人がやりがち。面白いことにこれも実は相手に依存した甘えの心理と繋がっている。

この自己表現では、相手を傷つけるので、安定した人間関係が作れず孤立してしまう。

 

  • 理想的な自己表現=アサーティブな自己表現

自分も相手も大切にする、「自分はOK、相手もOK」の自己表現方法。

 

  • アサーティブな自己表現はみんなの権利

アサーティブな自己表現は人権であり、私たちはだれもが自分らしくあっていいし、正直に自分の感情を表現する自由がある。

そして誰もが間違うこともある。どれだけ言い方に配慮したって、相手の受け止め方は様々なので、傷つけてしまうこともある。それでも、間違った責任を受け止めたり、謝ったり受け入れたりして、歩み寄りをすることが大事。

 

  • アサーションを実践するための3つのステップ
  • まずは自分の気持ちしっかりととらえる

自分の思い・感情を理解すること。他者に集中せず、自分に集中して自分の感情を観察する。

感情は自分が起こしているものであり自分の心の傾向の手掛かりとなるもの。

  • そしてそれを正直に言語化すること。言語化することでの気持ちがはっきりとしてくる。
  • 相手の反応を受け止め見届けること。マイナスな反応でも受け入れる。

 

  • 注意点

アサーティブな自己表現をしたからといって、相手が思い通りに動くとは限らない。その時に歩み寄り、話し合うことが大事。

 

  • アサーティブな自己表現の実践ポイント―アイ(I)メッセージ

相手や世間一般を主語にするのではなく「私」を主語にして話すこと。

「私は」こう思う、「私は」こう感じたとする。

例えば「なんで〜してくれないの!」よりも「私は〜と思ったから、してほしいな。」という表現のほうがよい。

 

<本の感想>

  • 本を読んだ理由

そもそもこの本を読もうと思ったのは、私には自己表現がうまくできない場面があるから。それで実際ストレスを感じることも多かったし、周りの人にも、「もっと自分の思っていることを言った方がいい」と言われたこともあるので、どうすればいいのかを考えてみようと思った。

 

  • 自分の自己表現の傾向を振り返って

私は、非主張的自己表現の傾向が大きいと思う。もちろん常にそれではなく、場面や相手によってアサーティブな自己表現ができることもあれば、攻撃的自己表現をして相手を傷つけることもあるが、ストレスを感じるのはやっぱり「本当は言いたかったけど、言えなかった」とき。自分にどんな傾向があるかはこれまでの経験で決まってくるそうだが、アサーティブな自己表現は学べばちゃんと身につけられるそう。

 

  • 仕事の場面でやりがちな自己表現

私は特に仕事の場面において、消極的になりがちという自覚はあった。

「言いたいことははっきり言えばいいじゃん!」という、非主張的自己表現をしてしまう人の心理がわからない人のために説明すると、まず、自分の意見をいう前に諦めの気持ちがでてきてしまう。どうせわかってもらえない・ばかにされるのではないかという恐れがあるので黙っていた方がマシという気持ちになる。また上司にミスを指摘されても「言い訳はするべきではない」という自分の価値観で黙ったり、相手を傷つけたくないと思って言えないこともある。だいたいその場はとりあえず笑顔でごまかす・黙るのだが、我慢した分その後ももやもやしてしまい疲れる。

結局言ったあとの「マイナスの結果」が怖いので自分の安全を守りたい心理が強いだけだと思う。

 

  • 実際アサーティブな自己表現をやってみた

この本を読んでから、最近仕事の場面でも少しずつ自分の気持ちを正直に話すようにしている。これまでは、不安な時に「不安です」と言ったりすることはあまりなかったがそうするようにしたり、怒られた時に言い訳するべきでないと思っていたのでこれまでは何も言わなかったが「本当はこういう意図で・・・」と若干言い訳するようになった。やってみると、言い訳というか、状況説明と思ったらむしろ相手のためにも説明したほうがいいこともあるとわかった。

まだ内容によっては、自分の気持ちを伝えるというのは、結構「えいや!」と思わないと言えない。

でもやってみて驚いたが、きちんと自己表現してみると相手がきちんときいてくれて、ちゃんと考えを返してくれた。相手も私の考えがわかって安心しているように見えたので勇気を出して伝えてよかったという気持ちになった。上司や周りの人がよくできた人で本当にありがたい。恵まれている。

あと言ったあとに、いつもと違って自分の気分が良かった。だいたい自分が我慢していればとか、自分が犠牲になればいいか、と黙っているのはメンタルによくないということをやっと自覚した。

でも先週もまた上司に怒られた時に言えなかったことがあって、それはいまだにもやもやしているwけど、まあ少しずつやろう、そんなにすぐは変わらない。

 

  • 自分の感情を伝える勇気をもつこと

うまくいった例を書いたが、アサーティブな自己表現をしたからといって全てが思い通りに行くわけではない。自分の意見を言って相手とそれが一致すれば奇跡だが、人は価値観も考え方も違うのが当たり前で、ほとんど一致することなんかないのでそこから歩み寄る必要がある。歩み寄れないこともあると思う。それはそれでOK。

それでも自己表現をすることはみんなの権利であり、そうしてぶつかったり傷つけたりすることもあるけど、それをまた謝ったり受け入れたりして 進んで行くというのが人間関係だから。

私にとっては、自分の思ってることは正直に伝えていいんだよ。ネガティブな結果を恐れないで。って、背中を押してくれる優しい一冊だった。

 

 

読書感想文#3『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』 星友啓

 

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今回も友人にお勧めしてもらったもの。

スタンフォードオンラインハイスクールの校長による、自己肯定感を高める方法について、脳科学的に正しい方法を紹介した本。くよくよ考えてしまう人、仕事や人間関係ですぐへこむ、自分に厳しすぎる人など必読・・・と本の帯に書いてあって、私やん。ってなったので、勧められてからすぐ読みました。(笑)

 

「自己肯定感」の定義は様々で、自分の能力に対する自信を意味することもあれば、自尊心を指す場合もある。本書の定義は「自尊心(=自己価値)」。冒頭に自尊心を測るテストがついているのでやってみた。私の結果は「普通」の範囲内だったが、日本人の平均よりも低かった。

 

簡単に本書を要約する。

まずやってはいけない自己肯定感のあげ方だが、ほかの人に褒められるなど外発的な報酬で自己肯定をすることは短期的には効果があるが長期的には心身ともに悪影響をもたらすことがわかっている。またネガティブな気持ちから逃げて自己肯定するのも、非常に健康に悪く、死亡リスクやがんのリスクが高まるそうだ。

追い求めるべき自己肯定感とはありのままの自分をネガティブなところも含めて受け入れること。「自己受容=現実の自分を受け入れる」と「自己価値=現実の自分をありがたく思う」そうすることで自分が変わる(成長する)準備ができる。

 

しかし、ネガティブなことって受け入れるのが大変だ。ネガティブな気持に対して人は本能的にディフェンス型の心の適用を行う。自分の姿勢や行動は変えずに事実を歪曲して心をディフェンスする。例えば仕事で失敗したけど「相手が悪かった」と人のせいにしたり、悪い健康診断の結果が帰ってきても「自分は大丈夫だ」と無視したり。

このようなディフェンス型の心の動きを避けるのに、「自己肯定理論」というものがある。これは、へこみの外でまず自己肯定しようという理論だ。人は多面的な顔を持っているのでディフェンス型の心の動きを避けるにはほかの顔で自己肯定すればいいということが科学的にわかっている。家族としての顔、職場での顔、友人や恋人といるときの顔、確かに全部自分だけど違う顔をもっている。

これが驚きだったのだが、実は、「仕事」で失敗したときに、いきなり仕事で自己肯定感を取り戻そうとしても逆効果だと筆者は述べている。

自己肯定感の下がった顔で、自己肯定感を上げようとしない・・・だから、まずはほかの顔、例えば家族や友人と一緒にすごしてネガティブなことに向き合える準備をするのが必要らしい。仕事で失敗したのに仕事で回復しないとは問題の解決になっていないのでは?と思ったが、これは研究でも検証されているらしく、急がば回れで別の顔で自己肯定することは問題から逃げることにはならず、むしろ脅威にさらされた顔に直接薬を塗るのではなく全体としてまず回復することが重要であり、そうすることでネガティブな気持を受け入れる準備段階ができるそうだ。

 

準備段階ができたら、次に、ネガティブな気持に実際に向き合うために何をするべきか、最新科学が明かした最も効果的な二つの方法を紹介している。

  • ディスタンシング・・・いわゆる幽体離脱的にネガティブな気持を客観視しようというもの。具体的には以下のような方法でネガティブな出来事に対して距離をとってみる。

・自分を呼ぶ(他人が自分に話しかけるように自分のことをよぶ)

・時間的に距離をとる(一年後の自分ならこの出来事をどう思うだろう)

・壁の虫の視点になる(壁の虫がいまの自分を見ていたらどう思うだろう)

・友達に声をかけるふりをする(自分が友達だとしたらどう声をかけるか)

 

  • ABCDEモデル・・・認知行動療法のひとつ。ネガティブな出来事があって、自分がどうそれをとらえたかを見直そうというモデルである。下のフローで自分の認知のゆがみに気づく。

・A:Activating event きっかけとなる出来事

ネガティブに感じている出来事はいつどこで誰が何をしたのか客観的にまとめる。

・C:Consequence Aに対して自分がどう感じたのか主観的に書く

・B:Belief ネガティブな心の構え Cを感じた心の構えは?

・D:Dispute 批判的な見直し Bには本当に根拠があるか、 B以外のポジティブな考え方はあるか?

・E:Effrct 振り返りの効果、どう感じるか

 

両者に共通するのはネガティブな気持・出来事に対する自分の捉え方を理解して、それを客観的に見直す、ということである。

 

上記に加え、自己肯定感の向上のためには食事・睡眠・運動などの生活習慣も重要。横道にそれるが知らなかったので書いておくと、運動することはDNAそのものではなくDNAの発現方法に影響を与えるため、今運動してニューロンを活性化したりワーキングメモリを鍛えると、その良い影響は子供や孫にまで受け継がれるらしい(!)。

 

最後の章に、そもそもなぜ自己肯定感というものが人間に備わっているのか?という点について考察があったのが個人的には面白かった。筆者は、自己肯定感とはソシオメーター=社会性のものさしだと考えている。言い換えれば、社会的動物である人間は、一人では絶対に生きられないので集団で生活する。生き残りや進化の過程で、周りから受け入れられるということは重要だったため、どれだけ受け入れられていると感じているのか、相手がどのように感じているのかの自分なりの判断をするためのメーターが自己肯定感ではないかと結論づけている。そうすると、自己肯定感とは実は「ほかの人にフォーカスしている」ものに他ならない。

そのため、自己肯定感が高く上がるものは「感謝」だと最後に書かれている。結局感謝するということは相手が自分に何かしてくれたということであり、裏返せば、自分は他人にそれをしてもらえるほどの価値があるということ→自己肯定感が上がるという仕組みになっているようだ。感謝を伝える手紙を書いたり、感謝のジャーナリングをするのはそういう理由で効果的だそうだ。

 

最後までよんで、人間というのは他者との関係で成り立つ生き物なんだなあとつくづく思った。幸も、不幸も全部「人間関係」だな。

自己肯定感の高い人は自分を受け入れ、心身ともに健康で幸福度が高く、人生も大成功!するらしいので、自己肯定感低いなって方は読んでみてください。面白かったです。

 

最後に本書でおすすめされていたことで自分がやりたいなと思ったことを自分用にめもして終わり。

・運動を週に150分する(1日30分)

➡今、週60分くらいで少ない。筋トレより有酸素運動がいいらしいので筋トレ+ヨガに+ダンスを復活する。

 

・Three Good thingsジャーナリングする

➡今日良かったことを毎日3つ書く日記。5分くらいでいいので具体的に何があったのか書き、その時の自分の感情と、なぜそれが起こったのか振り返ってみる。ちなみに効果は1か月ほど継続しないとでないらしいのでとってつけたみたいに落ち込んだ時だけ回復しようとして一次的にやるのは無駄だそう。6/9からやってるけど、普通に忘れて寝て次の日あ・・・ってなって書いてる。1か月続けてみたい。(笑)

 

・仕事で落ち込んだらABCDEモデルを実践する

➡通訳はぶっちゃけやるたびに自分の下手さに落ち込むし、ほかの仕事でも怒られたりすることも多々あるのでよく落ち込む。でも自分の心の声=Beliefがもし「全然だめだった」「いつもだめだ」など思っていたらそれに気づくようにしよう。だって客観的に考えたら「いつも」だめなんてこと絶対にない。改善点はいっぱいあるけど、いいところもいっぱいあるはず。とかw

 

・自然があるところに出かける

➡これが自己肯定感を高めるのは謎だが、身体が健康でないと多分それ以前の問題なんだろう。単純に自然のあるところにお出かけしたい。山とか海とか滝とか行きたい。

 

さて今回も長すぎるのに、最後まで読んでくれた方ありがとうございました。

要約箇所が長くなりがちなんだよね。面白かったから伝えたくて書いてしまうんだけど、がっつりネタバレだし、もっと自分の感想だけでいいのかなあ悩む。感想文書くのに試行錯誤しています。感想文かきたい本があと5冊くらいあるなう(読むの終わってるのに感想文追いついてなさすぎw)今回までは独自に適当にまとめたけど、読書感想文にもいろんな書き方がネットに転がってるから別の書き方も試してみよう。じゃあおやすみ。

 

読書感想文#2『星の王子さま』サン=テグジュペリ

 

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注;今回は会社に提出する感想文ではないです(笑)

 

友人にオススメ本を聞いたら、サン=テグジュペリの『夜間飛行』をオススメされた。でもその前に世界的ベストセラーの彼の著作を読んでいなかったのでこれを機会に読んでみた。

実は小学校のころ、家にこの本があって読もうとしたのだが、当時まったく意味がわからず、全然面白くなかったという記憶だけがあり、なんとなく避けてきた。でもクラシックだし、いろんなところで話題に上がる本は読んでおいて損はない。

 

友人曰く、「作者はパイロットで、冒険家だった。彼の人生が垣間見えて面白いよ」とのこと。本書の解説では、作者はフランスの貴族出身だったが兵役で航空隊に入り、執筆活動を続けていた。二次大戦で偵察機の搭乗員として出撃を繰り返し、1944年出撃してそのまま帰ってこなかったそうだ。そんな彼が最後に書いた作品がこの本だった。

作者の人生についてまず軽く触れたのは、この世界中で愛されている小説は、児童書ではあるものの、彼の人生がつまった、哲学の本みたいだと感じたからだ。

 

あらすじを簡単にまとめる。

砂漠に不時着した飛行士が、宇宙の星からきた小さな「王子さま」に出会う。王子さまはパイロットに宇宙の旅で出会った自分勝手な人たちや、自分の星のことや、愛した花のことについて話して二人は仲良くなる。しかし最終的には二人に別れがやってくる・・・という話。

明らかに砂漠に不時着した飛行士とは作者本人のことだし(実際不時着した話は『人間の大地』にかかれている)王子さまの語る言葉も、作者がこれまでの人生で感じて来たことを反映しているようだ。

 

テーマは、大人になることと、愛と、死についてだと思う。

正直、この本は人を愛したり、大切な人の死・別れを経験したりしたことのない人には、王子さまが何を言っているのか汲み取れなくて意味がわからないと思う。だから小学校のときの私にわからなくて当然だと思った。まだまだ人生経験は浅いが、そういう人生の喜びと苦しみを多少でも経験した上で読むと結構心にずしーんとくるものがあった。

大人になることの悪い面について書かれているのは、王子さまが旅する中で出会う大人たちについて話すシーンだろう。出会う大人がみんな自分のことばかりを考えて、金や権力や所有物に執着したり、酒に溺れたり、時間がなかったりして大切なものを忘れているように描かれている。

愛については、作者のうまくいかなかった結婚生活を反映しているといわれている「バラ(妻)」と「王子さま(本人)」のやりとりが出てくるがこれは結構イラっとする。目に見えないものを大切にしていたら、バラのこともちゃんと愛せたのに、と王子さまは後悔する。

死については、王子さまが最後に星に帰るシーン(死ぬシーン)の会話がある。死んだ人は心の中で永遠に生き続ける。時間が癒してくれるから、悲しみはいつか和らぐ。

 

挿絵みたいなほんわかした話想像してたからこんな小説だとは思わなかった。ちなみに挿絵も作者が書いたんだって、才能の塊だね。

 

最後に心に残ったことばを書いておこう。

「なつかせたもの、絆を結んだものしか、ほんとうに知ることはできないよ。人間たちはもう時間がなさすぎてほんとうには何も知ることができないでいる」

「いちばん大切なものは目には見えない」。

ーこれはおとなは忘れていることなんだって。

まあ自分もある程度年を重ねて大人になったわけだけど、確かに忙しくて余裕がないときや、表面上だけみてたり、言葉にふりまわされると、何が大切かわからなくなることはよくある。ちゃんと絆を結べる人っていうのはやっぱり特別な存在だから、目に見えない部分を大事にしたいなって思った。

 

なんとなく考えたのは、欧米の児童書のベストセラーって「死」について子供向けに教えるものが意外とあるなあってイメージがある。死ぬってどういうことか、みたいなことをちゃんと書いてる児童書は日本にもあるのかなあ。童話はいっぱい読んだ方だけど思い浮かばない。

 

あと完全にこれはどうでもいいけど、小さい時よく「星の王子さま」ってカレー食べてたなあとか思ってたら、「カレーの王子さま」だった。星の王冠つけてる王子さまがパッケージでややこしいです。みんなもきっと食べてたよね?笑

 

以上です。読んでくれてありがとう!

また書きすぎました。もうちょっと短くする予定だったのに・・・。

読書感想文#1『異文化理解力』エリン・メイヤー

『異文化理解力』エリン・メイヤー


 

今の会社に入ってから、様々な国の出身者と初めて働く経験をさせてもらっている。仕事を通してグローバルなメンバーたちとやり取りをしたり、議論する中で、よく不思議に思うことがある。「なぜこの人はこういう考え方を、判断を、行動をするんだろう?」と思うことは日常茶飯事だ。

 

ただ本書を読むまで、自分がそう感じた時の他人の言動の多くが、実は文化に根差したものだったことに私は気づいていなかった。「違い」はその人の「性格」だろうと捉えていたのだ。もちろん文化的な影響はあるだろうとは予想していたものの、何が文化で何が性格かを見極める知識がなかったので、そのように考えていた。

 

本書は、異文化交渉・異文化マネジメントに焦点を当てた組織行動学の専門家がグローバルに働くすべての人へ向けて異文化を説明した本である。

私がこの本を読む目的は、複数の文化出身者(日本・アメリカ・ドイツ)が所属する自分のチームについてさらに理解し、それに合わせた対応ができるようになることだ。

 

著者は大規模な調査を行った結果、8つの指標を使い、様々な文化差の説明をしている。

このうち、自分のチームメンバーの文化に関連して印象に残った4つの指標について要約する。

 

  • コミュニケーション方法はローコンテクストか、ハイコンテクストか

ローコンテクストの文化(アメリカ・ドイツ)では、いいコミュニケーションは明確でシンプルな表現である。言葉は額面通りに伝え、額面通りに受け取る。ハイコンテクストの文化(日本)はいいコミュニケーションは空気を読むという言葉に代表される通り、含みやほのめかしで伝えるものである。

二つの文化が含まれるグローバルチームでは、ハイコンテクスト出身者が、ローコンテクストのスタイルのコミュニケーションに切り替えることが推奨されている。明確で含みのない表現を意識することである。明文化することも有効。ローコンテクストの文化ではあらゆるもの(フィードバック、議事録なども)が明文化される。ローコンテクストの文化ではコミュニケーションで問題が起きた時は、受け取る側ではなく伝える側の責任(伝え方が悪い)と考えられる。

 

  • 評価方法は直接的なネガティブフィードバックを行うか、間接的なネガティブフィードバックを行うか

直接的なフィードバックが行われる文化(ドイツ)では、ネガティブなフィードバックは単刀直入・正直に行われ、グループの前で個人が叱られることも許容される。間接的なフィードバックが行われる文化(アメリカ・日本)では、ネガティブフィードバックは基本的に一対一で行われ、やわらかくさりげなく、ポジティブメッセージを交えながら行われる。

アメリカ人へ批判をするときの注意点としては、必ず最初にポジティブなコメントを言ってからネガティブなフィードバックをする。またポジティブとネガティブのバランスをとる(今日はほめて明日は批判を伝えるなど)。さらに、文化の観点から自分の行動を説明しておく(例:自分はフランス人だが、フランスではあまりポジティブなフィードバックはしないのが普通だ、など事前説明しておく)のも有用である。

ドイツ人への批判は、率直であることが評価・感謝されるので率直に伝えてもいいが、間接的な文化の人はこのやり方をとると往々にして行き過ぎるため、直接的な文化の人のやり方を真似するのは良い案ではない。

 

  • 説得の方法は原理優先か応用優先か

何かを説明したり、説得したりする際の思考法は、ドイツ、アメリカ、日本で異なる。

原理優先の思考法(演繹的思考)の文化(ドイツ)では、原理を重要視するため何かを説明するときは「なぜ」そうなのか、理論的概念、一般的原理の説明をする。いきなり結論や提案から話すことはなく、諸条件や結論に至った過程を説明してから結論に至るのが正しいという信条がある。

応用優先(帰納法的思考)の文化(アメリカ)では、実用性に重きを置くため提案から始める。そしてそれを裏付ける例をたくさん挙げたあと、普遍的な結論へと至る。

包括的思考の文化(日本)では、マクロからミクロに考えるため、全体像の説明をすることが重要。

多くの人はどの思考法も使うことができる。ただ、どちらを習慣的に使うかは自身の文化や教育によって影響されているので反対の思考法に慣れている人と仕事をすると問題が起こりやすくなる。

 

アメリカとドイツと日本は意思決定方法がそれぞれ異なる。

合意の文化(ドイツ)では、意思決定は全員の意見を聞くため、決断まで時間がかかる。ただ決断したらそこから修正や変更などをしない(決断は最終決定という意識)ので実行は早い。

トップダウンの文化(アメリカ)では、上司一人が決めてそれに従うことが多い。アメリカは、リーダーシップとしては平等主義(リーダーもメンバーの一員と考える)であるが意思決定は実はトップダウン。そのため意思決定は早く、あとで修正したり変更したりする。はやく決めて実行しながら考えようという姿勢。

日本はこの二つの例外で、階層主義だが超合意主義。稟議や根回しという言葉に現れるとおり、会議の前にすでに話しあいがたくさん行われており、結論が決まっていたりする。

グローバルチームにおいては、最初の段階で意思決定の方法について話しあい、合意をとることが重要。

 

本書を通して、単に「性格」の違いだと思っていたチームメンバーの言動が文化的なものであったことに気が付くことができた。自分とは異なる考えや行動を目にしたとき、人はそれは変だとか、やり方について批判したくなることもある。さらに「文化」のように人が無意識で行っていることについてはミスコミュニケーションの原因に気づくことが難しいので、気づいたときには関係が悪化してしまっていたこともあるかもしれない。しかし、異文化であることを認識して、自分の意識や行動を少々調整すれば、それが仕事での成功やその人との関係づくりに大いに役立つと思った。

では、この文化の違いを踏まえて、どのようにチームをまとめればよいのか。一番やりやすいのは、どの文化にあわせるか、ということではなく、筆者が推奨する通り、そのチームの「チームの文化」を生み出すことである。これはつまり、進め方や、進捗についてきちんと話し合って「認識を合わせておく」ことに他ならないと思う。

 

 

―――――――――

・・・とここまでが会社の読書感想文の宿題でw、以下が個人的な感想です。

 

感想を一言で言うと、「それって文化だったんだ!完全に性格かと思ってたわw」だった。私は人が自分と「違う」ことに対してわりと寛容でいたいと思っているので、人が自分と違う言動をしても「まあ人間みんな違うもんな」と受け入れがちだが、「なんでアメリカ人は!」とか「なんで日本人は!」とかよく思う人は、読んだらかなりストレスが解消されるんじゃないかと思う。

 

要約に加え面白かったのは、文化ごとの相対性についても言及されている点だ。例えば私は「英語圏の文化」はこれまでくくって考えていた節があったが、どうも違うよう。スーパーハイコン文化の日本からみると、英語圏の国はひとえにローコン文化というとらえ方をしがちだが、同じ英語圏でもかなり差があると書いてあった。

例えばイギリスとアメリカだと、イギリスのほうがハイコンテクスト度が高い(含みを持たせる言い方をする)ので、アメリカ人はイギリス人の話を額面通り受け取り、何を言っているのか含みが読み取れずイラついたりする。そのためイギリスジョークもアメリカ人には通じないこともある。そういえば、アメリカ人はJust kidding(冗談だよ)とか良く言うけど、額面通りに言葉を受け取るアメリカではそう言わないと冗談と思われないということだ。なんでそれいちいち冗談だよって言うんだろう、言わんでもわかるでしょ?って思っていた私はめちゃめちゃ自分がハイコン文化出身だったことを感じた。

オーストラリアとアメリカだとオーストラリア人のほうが単刀直入というのも書かれてあったけどその通りで面白い。オーストラリア人ははっきりモノ言うなあ~wと思ったことが何回もある。でも意外とすごい良くてもIt’s not too bad(まあ悪くないよね)とか言うよね。謎…。

 

また今更だけど個人的に腑に落ちたことがある。アメリカ人が、なぜ話をするときに例をたくさん出すのかということだ。本書にアメリカの帰納的思考法が最もあらわされているものとしてCommon Law(英米法、判例法)があげられていた。裁判のときに先例を持ち出して弁護する、あれだ。あと、アメリカ人作者のノンフィクションを読むときに、たいてい「アリスは~で、~だった。ジョンは~こうした。」とか、いろんな人のいろんな事例が挙げられていることに、なんでこんなに例が多いんだ…例多くて読みづらっ…と違和感を感じていたのだが、あ~その思考法、ゆえにその表現になるのかと納得した。考えてみれば、普段の会議でも、アメリカ人は説得したいとき、たいてい例を出してくる。Let’s say, … (例えば‥)とかすぐ言い出す気がする。この本もすんごい事例ばっかりで、例によってアメリカ人が書いた本あるあるだった。若干話ずれるけど、翻訳自体はほんとにすばらしいと思いました。タイトルがちょっと難しい感じだから長く積読してあったんだけど、とても読みやすい。

 

加えて、思考法の違いは西欧とアジアの日付の書き方や住所にも表れているところが面白かった。アジアは中国的思考や宗教(場が行動に影響を与えると考えられていた)の影響から、包括的なものの見方をする。具体的には日本や中国は年月日とかくが、西欧は日月年とかく。住所も、日本だと国から書いて番地まで書くが、西欧は番地から書いて最後に州や国をかく。

 

ちなみにマインドマップを書いたらA4に収まらないので3章分くらい泣く泣く省略した。マインドマップうまくかけない。。