あーたんの読書ブログ

読書感想文かいていきます!

読書感想文#16『Still Alice』Lisa Genova

こちらはローリー・ギルモアブックチャレンジに関係なく、ただネットで書評をみて面白そうと思って購入。ニューヨークタイムズベストセラーで映画化もされた作品です。

『Still Alice』は、Lisa Genovaの筆により、深い感情とリアルな描写で若年性アルツハイマーに直面する主人公Aliceの姿が描かれています。アリスは初めはハーバードの優れた教授として誇りをもっており、仕事に没頭する生活をずっと送ってきて家族とのかかわりがあまりないような人で、冷たい印象を与えます。しかし、症状が進む中でその冷静さは感情の嵐に変わります。アリスの日常生活での苦悩や、家族との関係の変化が、読者に強い印象を残します。

物語はアリスが認知症の症状と闘う姿を描き、彼女がだんだんとこれまでできていたことができなくなっていく様子がリアルに綴られています。例えば、レシピを忘れるなど、日常生活の中での些細なことから始まり、次第に認知症の進行とともに言葉を忘れ、トイレに行くのを忘れたり、家族のことを忘れるなど、すべてを失っていきます。これらの細かな描写がアリスの無力感や痛みを強調し、読者に感情移入を促します。

特に娘のリディアとの関係が物語を通して重要な要素です。初めは確執がありましたが、認知症の進行により心が通い合うようになり、最終的にはアリスの病気により、リディアが母親との新しい接点を見つけ、感情の壁が取り払われていく様子がみられました。物語の終盤でアリスがリディアのことを忘れてしまうという場面は、大変悲しい瞬間で泣きそうになりました。

作者は感情表現が巧みで、一人称の視点が読者にアリスの感情をリアルに伝えます。この手法は『アルジャーノンに花束を』との共通性も見受けられ、物語全体に深みを与えています。『アルジャーノンに花束を』では、主人公が脳の手術を受けて知能が向上するが、最終的には元の状態に戻るという物語が主人公目線で綴られており、両作品ともに主人公の変化とその周りへの影響が強く心に残る作品です。

作品を通して伝わるメッセージは明確で、家族は何があっても助け合うことが大切だと感じました。知識の不足から来る驚きや感動が、物語を通じて私の心に響きました。アリス本人よりも、彼女を取り巻く家族に感情移入し、認知症に対する理解が深まりました。

また、若年でもアルツハイマーに冒されるという事実に初めて触れ、高齢者に限らず認知症にかかる可能性についての無自覚な偏見が打ち砕かれました。物語の中でアリスが経験する辛さや無力感は、私たちが日常で当たり前に感じていることがいかに幸せなことかを改めて考えさせられるものでした。

この小説はまた、作者自身の家族における経験から生まれたものであり、リアルな感情の描写が物語に深みを与えています。おばあちゃんが認知症にかかり、それがきっかけでこの物語が生まれたという事実は、物語の背後にある温かさと深いつながりを感じさせます。

認知症に対する理解が深まると同時に、家族や愛する人との繋がりの大切さを再確認しました。物語の中で描かれたアリスと家族の絆は、時に厳しい現実にもかかわらず、愛と支えがいかに強力かを教えてくれました。

 

●総評

・英語のレベル ★★★☆☆(英検準1以上くらい)

・ストーリー ★★★★☆

 

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