読書感想文#3『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』 星友啓
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今回も友人にお勧めしてもらったもの。
スタンフォードオンラインハイスクールの校長による、自己肯定感を高める方法について、脳科学的に正しい方法を紹介した本。くよくよ考えてしまう人、仕事や人間関係ですぐへこむ、自分に厳しすぎる人など必読・・・と本の帯に書いてあって、私やん。ってなったので、勧められてからすぐ読みました。(笑)
「自己肯定感」の定義は様々で、自分の能力に対する自信を意味することもあれば、自尊心を指す場合もある。本書の定義は「自尊心(=自己価値)」。冒頭に自尊心を測るテストがついているのでやってみた。私の結果は「普通」の範囲内だったが、日本人の平均よりも低かった。
簡単に本書を要約する。
まずやってはいけない自己肯定感のあげ方だが、ほかの人に褒められるなど外発的な報酬で自己肯定をすることは短期的には効果があるが長期的には心身ともに悪影響をもたらすことがわかっている。またネガティブな気持ちから逃げて自己肯定するのも、非常に健康に悪く、死亡リスクやがんのリスクが高まるそうだ。
追い求めるべき自己肯定感とはありのままの自分をネガティブなところも含めて受け入れること。「自己受容=現実の自分を受け入れる」と「自己価値=現実の自分をありがたく思う」そうすることで自分が変わる(成長する)準備ができる。
しかし、ネガティブなことって受け入れるのが大変だ。ネガティブな気持に対して人は本能的にディフェンス型の心の適用を行う。自分の姿勢や行動は変えずに事実を歪曲して心をディフェンスする。例えば仕事で失敗したけど「相手が悪かった」と人のせいにしたり、悪い健康診断の結果が帰ってきても「自分は大丈夫だ」と無視したり。
このようなディフェンス型の心の動きを避けるのに、「自己肯定理論」というものがある。これは、へこみの外でまず自己肯定しようという理論だ。人は多面的な顔を持っているのでディフェンス型の心の動きを避けるにはほかの顔で自己肯定すればいいということが科学的にわかっている。家族としての顔、職場での顔、友人や恋人といるときの顔、確かに全部自分だけど違う顔をもっている。
これが驚きだったのだが、実は、「仕事」で失敗したときに、いきなり仕事で自己肯定感を取り戻そうとしても逆効果だと筆者は述べている。
自己肯定感の下がった顔で、自己肯定感を上げようとしない・・・だから、まずはほかの顔、例えば家族や友人と一緒にすごしてネガティブなことに向き合える準備をするのが必要らしい。仕事で失敗したのに仕事で回復しないとは問題の解決になっていないのでは?と思ったが、これは研究でも検証されているらしく、急がば回れで別の顔で自己肯定することは問題から逃げることにはならず、むしろ脅威にさらされた顔に直接薬を塗るのではなく全体としてまず回復することが重要であり、そうすることでネガティブな気持を受け入れる準備段階ができるそうだ。
準備段階ができたら、次に、ネガティブな気持に実際に向き合うために何をするべきか、最新科学が明かした最も効果的な二つの方法を紹介している。
- ディスタンシング・・・いわゆる幽体離脱的にネガティブな気持を客観視しようというもの。具体的には以下のような方法でネガティブな出来事に対して距離をとってみる。
・自分を呼ぶ(他人が自分に話しかけるように自分のことをよぶ)
・時間的に距離をとる(一年後の自分ならこの出来事をどう思うだろう)
・壁の虫の視点になる(壁の虫がいまの自分を見ていたらどう思うだろう)
・友達に声をかけるふりをする(自分が友達だとしたらどう声をかけるか)
- ABCDEモデル・・・認知行動療法のひとつ。ネガティブな出来事があって、自分がどうそれをとらえたかを見直そうというモデルである。下のフローで自分の認知のゆがみに気づく。
・A:Activating event きっかけとなる出来事
ネガティブに感じている出来事はいつどこで誰が何をしたのか客観的にまとめる。
・C:Consequence Aに対して自分がどう感じたのか主観的に書く
・B:Belief ネガティブな心の構え Cを感じた心の構えは?
・D:Dispute 批判的な見直し Bには本当に根拠があるか、 B以外のポジティブな考え方はあるか?
・E:Effrct 振り返りの効果、どう感じるか
両者に共通するのはネガティブな気持・出来事に対する自分の捉え方を理解して、それを客観的に見直す、ということである。
上記に加え、自己肯定感の向上のためには食事・睡眠・運動などの生活習慣も重要。横道にそれるが知らなかったので書いておくと、運動することはDNAそのものではなくDNAの発現方法に影響を与えるため、今運動してニューロンを活性化したりワーキングメモリを鍛えると、その良い影響は子供や孫にまで受け継がれるらしい(!)。
最後の章に、そもそもなぜ自己肯定感というものが人間に備わっているのか?という点について考察があったのが個人的には面白かった。筆者は、自己肯定感とはソシオメーター=社会性のものさしだと考えている。言い換えれば、社会的動物である人間は、一人では絶対に生きられないので集団で生活する。生き残りや進化の過程で、周りから受け入れられるということは重要だったため、どれだけ受け入れられていると感じているのか、相手がどのように感じているのかの自分なりの判断をするためのメーターが自己肯定感ではないかと結論づけている。そうすると、自己肯定感とは実は「ほかの人にフォーカスしている」ものに他ならない。
そのため、自己肯定感が高く上がるものは「感謝」だと最後に書かれている。結局感謝するということは相手が自分に何かしてくれたということであり、裏返せば、自分は他人にそれをしてもらえるほどの価値があるということ→自己肯定感が上がるという仕組みになっているようだ。感謝を伝える手紙を書いたり、感謝のジャーナリングをするのはそういう理由で効果的だそうだ。
最後までよんで、人間というのは他者との関係で成り立つ生き物なんだなあとつくづく思った。幸も、不幸も全部「人間関係」だな。
自己肯定感の高い人は自分を受け入れ、心身ともに健康で幸福度が高く、人生も大成功!するらしいので、自己肯定感低いなって方は読んでみてください。面白かったです。
最後に本書でおすすめされていたことで自分がやりたいなと思ったことを自分用にめもして終わり。
・運動を週に150分する(1日30分)
➡今、週60分くらいで少ない。筋トレより有酸素運動がいいらしいので筋トレ+ヨガに+ダンスを復活する。
・Three Good thingsジャーナリングする
➡今日良かったことを毎日3つ書く日記。5分くらいでいいので具体的に何があったのか書き、その時の自分の感情と、なぜそれが起こったのか振り返ってみる。ちなみに効果は1か月ほど継続しないとでないらしいのでとってつけたみたいに落ち込んだ時だけ回復しようとして一次的にやるのは無駄だそう。6/9からやってるけど、普通に忘れて寝て次の日あ・・・ってなって書いてる。1か月続けてみたい。(笑)
・仕事で落ち込んだらABCDEモデルを実践する
➡通訳はぶっちゃけやるたびに自分の下手さに落ち込むし、ほかの仕事でも怒られたりすることも多々あるのでよく落ち込む。でも自分の心の声=Beliefがもし「全然だめだった」「いつもだめだ」など思っていたらそれに気づくようにしよう。だって客観的に考えたら「いつも」だめなんてこと絶対にない。改善点はいっぱいあるけど、いいところもいっぱいあるはず。とかw
・自然があるところに出かける
➡これが自己肯定感を高めるのは謎だが、身体が健康でないと多分それ以前の問題なんだろう。単純に自然のあるところにお出かけしたい。山とか海とか滝とか行きたい。
さて今回も長すぎるのに、最後まで読んでくれた方ありがとうございました。
要約箇所が長くなりがちなんだよね。面白かったから伝えたくて書いてしまうんだけど、がっつりネタバレだし、もっと自分の感想だけでいいのかなあ悩む。感想文書くのに試行錯誤しています。感想文かきたい本があと5冊くらいあるなう(読むの終わってるのに感想文追いついてなさすぎw)今回までは独自に適当にまとめたけど、読書感想文にもいろんな書き方がネットに転がってるから別の書き方も試してみよう。じゃあおやすみ。